技術的な課題(航空宇宙向け3Dプリンティング)
航空宇宙グレードの部品を積層造形(3Dプリント)で実現するためには、精密加工レベルの要求に対応する複数のクリティカルな課題を一つひとつ解決していく必要がありました。
1. 厳しい寸法公差
航空宇宙用途では、寸法精度として±0.02 mmクラスの厳しい公差が要求されるケースが多くあります。3Dプリントのみでこのレベルを安定して出すことは難しいため、CNC切削加工と組み合わせた後加工プロセスを構築し、機能面・組立面となる重要部を仕上げることが不可欠でした。
多くの重要寸法は±0.02 mm以内に管理し、一部の組立基準面(データム)についてはさらに厳しい公差帯を設定しました。この精度を達成するために、3Dプリント母材への安定したチャッキング方法と、温度管理されたCNC後加工プロセスを確立しています。
2. 材料特性の確保
本案件では、軽量と高強度のバランスに優れたAluminum 7075が指定材料でした。複雑形状の実現には積層造形が有効でしたが、長期的な信頼性と機械的特性を満たすためには、造形後の切削加工と熱処理プロセスを適切に組み合わせることが重要となりました。
今回のプロジェクトでは、Aluminum 7075が高い比強度と良好な切削性のバランスを発揮し、量産加工にも適した材料として機能しました。材料選定や後工程の考え方については、当社の
材料ガイド(Materials Guide)
でも整理しています。
3. 品質保証・検査体制
航空宇宙向けの要求に応えるため、全ての部品に対して三次元測定機(CMM)による寸法検査、表面粗さ測定、寸法安定性評価などの厳格な検証を行いました。工程能力は、重要管理特性(CTQ寸法)を対象にSPCで監視し、CPKは常に1.67以上となるよう管理しました。
本案件では、当社の
測定設備・計測能力
と、全社的な
品質保証ワークフロー
をフル活用し、CPKデータを含む各種エビデンスを整備して、監査対応可能な記録としてお客様へ提出しています。