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表面粗さ測定とRa値の誤差解消法|現場で役立つ実践ガイド

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黄昌雄

スマートものづくり、ワンストップで実現。見積りは即時、徹底コントロール。

表面粗さ測定は品質管理や精度向上に不可欠な作業ですが、Ra値の誤差が原因でトラブルになることも。この記事では、接触式・非接触式それぞれの特徴と測定誤差の原因を明示し、実際の現場で使える対策や補正手法を具体的に解説します。CNC加工や金属部品の検査に携わる製造業エンジニアの方へ向け、実践的かつすぐに役立つノウハウを凝縮しました。

Surface Roughness

表面粗さとは?

表面粗さ(Surface Roughness)は、部品表面の微細な凹凸を定量化した評価指標です。微小な凸部と凹部の違いを解析し、粗さパラメータ(Ra、Rzなど)で表します。製品の耐摩耗性、接触性、外観などに直接影響するため、製造業の品質管理では基礎中の基礎です。

Ra値の定義

Ra(算術平均粗さ)は、測定区間における表面プロファイルから山と谷の偏差絶対値の平均を取った値です。単位はミクロン(µm)で示されます。ISO 4287 や JIS B 0601-1 に準拠します。

 

接触式 vs 非接触式:比較と選び方

接触式測定器(スタイラス式)

  • 長所

    • 比較的安価で導入しやすい。

    • 手持ち・卓上型など用途に応じた装置バリエーションあり。

    • 単純形状の測定に強く、データ信頼性も高い。

  • 短所

    • スタイラス先端の摩耗や破損による誤差。

    • 測定速度や接触力の変動で結果がぶれる。

    • 弾性変形・磨耗が再現性に影響。

  • 典型スペック

    • スタイラス半径:0.2–5 µm

    • 推奨測定速度:0.1–1 mm/s

 

非接触式測定器(光学式/レーザー式)

  • 長所

    • 接触なしで傷をつけず測定可能。

    • 高速・連続測定に適し、形状解析に有利。

    • 3Dプロファイルの取得が可能。

  • 短所

    • 表面反射や透明コーティングの影響を受けやすい。

    • 高価で、光学性能と環境整備も要。

    • 高湿度・粉じん環境では精度低下。

  • 典型スペック

    • 光学分解能:0.1 µm程度

    • 最大測定速度:数mm/s~数cm/s

 

Ra値測定誤差の主な原因と対応策

原因1:プローブ摩耗

詳細:スタイラスの摩耗や破損によって形状が変わり、Ra値が小さく測定される。
対策

  • 定期交換(例:5,000測定毎)。

  • 測定前後にキャリブレーションゲージで形状チェック。

原因2:測定速度の設定不適合

詳細:速すぎる測定では山谷を捉えにくく、遅すぎると長時間で表面に影響。
対策

  • 標準速度(0.5 mm/s〜適応)に従い設定。

  • 手順書で速度を明記し、教育・トレーニングに使用。

原因3:校正不備

詳細:測定器のドリフトを放置して使用することで誤差が積み重なる。
对策

  • トレーサブルな標準ゲージ(ステップゲージ・滑らかゲージ)を使用。

  • 校正記録をExcelやQAシステムに保存し、履歴管理を実施。

原因4:環境要因(振動・温度・湿度)

详细:設備の周囲振動、高温状態が測定結果を揺らす。
対策

  • 測定室を振動低減仕様に。

  • 測定箇所は工場ラインから隔離し、温湿度記録装置を活用。

  • 測定前に温度・湿度を安定させる時間を設ける。

原因5:表面状態とコーティング

詳細:塗装面や反射率の高い金属面では光学方式が誤認識しやすい。
対策

  • 前処理として被膜除去・拭き取りを実施。

  • 非接触測定では反射防止スプレーを使い、表面状態を均一化。

 

現場で使える誤差低減テクニック

1. 測定前チェックリスト作成

  • 清掃:ほこり・切粉除去。

  • 校正状況:最新校正日・結果確認。

  • 設定:測定速度・走査長・フォース。

  • 環境:温度・湿度・振動。

2. 複数回測定 + 平均化

  • 同一測定点を 3 回程度測定し、平均値を採用。

  • 統計処理で外れ値除去し、信頼性を担保。

3. 校正スケジュールとトレンド管理

  • 月次または稼働毎に校正。

  • ゲージ誤差値からトレンドを可視化し、対策タイミングを判断。

4. 作業標準書(SOP)整備

  • 測定手順・測定条件・結果報告形式を文書化。

  • 社内教育ツールとして活用し、新人も標準化された品質を担保。

5. 異機種測定による相対評価

  • 例えば接触式と非接触式で同一対象を測定し、結果に大きな差がないか分析。

  • 「光学:参考値、スタイラス:正式値」など使用目的を明確化。

 

現場応用例:CNC加工部品の検査手順

  1. 部品材質・加工段階の確認

    • 金属/樹脂・荒加工・仕上げ加工で測定方式を使い分けます。

  2. 測定位置の選定

    • 機能面・摺動面・接触面上で Ra を測定。

  3. 測定条件のチェック

    • 前述リストに基づき、測定前に環境・校正・設定確認。

  4. データ取得と判定

    • 3点測定 → 平均値取得 → 指定Raと比較。

  5. 異常時アクション

    • Ra超過:加工工程に修正指示。達成済:次工程へ進行。

  6. 記録と報告

    • 測定結果・グラフ・コメントを含む報告書を Excel・QAシステムへ記録。

 

用途に応じた測定器仕様比較

用途接触式非接触式
品質管理(小ロット)手持ち式でコスパ良好。スタイラス径0.5 µm以上推奨小型光学タイプで高精度だが高価
量産ライン卓上型でヒト測定に自動追加も可高速モデルでラインインテグレーション可能
3Dプロファイル取得複数測定点から連続データを作成スキャニングタイプで面全体を簡単に取得

校正・メンテナンス体制の重要性

  1. 年1~2回の正式校正(認定校正機関)

  2. 予備校正も月1回程度実施

  3. マニュアル化した点検項目(摩耗、剛性、プローブ再取付など)

サプライ保守・サポート

  • 消耗部品(スタイラス、保護カバーなど)の即日対応

  • オンサイト対応や代替機提供オプションがあるかチェック

Q&A

  1. Ra値測定の最適な繰り返し回数は?
     →3~5回が目安。ばらつきが大きければ回数を増やし、平均+STDで信頼性を高めます。

  2. 異なる測定器で値が異なるのはなぜ?
     →測定原理(接触 vs 光学)、校正ゲージ、測定条件、表面特性の違いによります。

  3. スタイラスが折れたらどうする?
     →摩耗・破損が確認されたら即交換。併せてプローブ交換記録を残してください。

  4. 光学式でも汚れた表面は測れる?
     →汚染があると光反射が乱れるため、拭き取りや超音波洗浄を推奨します。

  5. 学習用のオンラインリソースは?
     →ISO 4287 (粗さパラメータ)、JIS B 0601-1(測定方法)などを参照すると体系的に理解できます。

工具・資材選定のノウハウ

  • スタイラス径:精度重視なら径0.5 µm以下、通常用途であれば1 µm程度

  • プローブフォース調整:0.75 mN〜2 mNが標準。素材に応じて選定

  • レンズ・センサー性能(光学式):分解能0.1 µm以上&帯域幅250 Hz以上が良好

  • ソフトウェア/データ解析:3Dマッピング・面粗度解析・傾斜補正などの機能があるか確認

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当社は、CNC加工・医療・航空・半導体分野を含む多数の製造業に対し、表面粗さ測定技術を中心とした品質改善支援を40年以上提供しています。

  • トータルサポート:機器選定→校正→運用→教育まで一気通貫

  • 品質保証体制:認定校正機関との連携でトレーサビリティ確保

  • 導入後支援:データ解析・トラブル対応・定例レポート提供

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